同期は蓋を開けたら溺愛でした
服を持ち、大友がカーテンを閉めると店員さんは気を遣って私に話しかけてきた。
「かっこいいですよね。彼氏さん。俺、鍛えても筋肉つかないタイプなのでうらやましいです」
「……はあ」
確かに店員さんは細身だ。
レディースのTシャツでも着られそうなくらい。
だからといって『かっこいい彼氏さん』というワードには素直に頷けない。
「いかがですか?」
店員さんが声をかけても返事はなく、代わりにカーテンがシャッと素早く開けられた。
「どうでしたか?」
持って入った服は手にしていて、こっちをお願いします。これはやめておきます。と、買う服は決めたみたいだった。
レジへ服を持っていく店員さんに聞かれないように私は大友に訴えた。
「試着して、「どう?」って聞いてくれるかと思って待ってたのに」
口を尖らせる私へ「見せれないから」と一緒に見に来ている意味があるのか分からない発言をする。
「見たかったなあ」
「思ってたより恥ずかしいわ。買い物デート」
腕で顔を隠しつ照れたように言う。
想像していなかった感想に目を丸くする。
「……した経験、ないの?」
「……そういうお前は?」
「それは、内緒」
頭をグッと掴まれて「あとで吐かせる」とつぶやかれて恐怖を感じた。