同期は蓋を開けたら溺愛でした

 ビルの前まで行くと緊張から、大友とつないでいる手にギュッと力を込める。

「大丈夫だから」

 そう言われ、促されるままビルの中へと足を踏み入れた。

 エレベーターには私たちしかいなかった。
 やはりまだ早い時間だからなのか、休日なのに1階も閑散としていた。

 最上階に着くと、息を飲んでドアが開くのを待つ。

 開いた先には明るい景色が広がっていた。

「わあ。まぶしい」

 満面の笑みを大友に向ける。
 展望台には景色を純粋に楽しむ人しかいないようだ。

「よかったな」

 久しぶりに聞く保護者みたいな大友の発言にも素直に頷いた。

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