同期は蓋を開けたら溺愛でした

「さあ。帰ろうか」

 そう言われ、歩いていく大友はエレベーターを通り過ぎた。

「どこへ? お手洗い?」

 振り返って意味深な微笑みを向ける大友とエレベーターホールをぐるりと裏へ回る。
 そこには非常階段があるだけの場所。

「階段で降りるの? ここ何階だっけ?」

 私の質問を聞いているのかいないのか。
 大友の視線の先を辿ると柱と柱の間に小さな窓枠。

 いざなわれ、その窓枠へと歩み寄る。

 小さな窓枠はこんなところでも景色を存分に見せようと考えられているのか、腰のあたりまではガラスになっており、枠の部分が出窓のように段差になっている。

 その部分に大友は腰かけた。

「ここ、あんまり人も来ないから、普段は恋人が陣取ってて人気の場所」

 そう言いながら私の脇に手を入れて持ち上げるものだから「ひゃっ」と小さな悲鳴が漏れる。
 持ち上げられて、私も大友の隣に座らされた。

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