同期は蓋を開けたら溺愛でした

「……大友のいつもの手口ってわけ?」

 急に楽しい気分が吹き飛んで不機嫌な声が出る。

 前みたいに夜景の時間に来て、ここで私ではない彼女にキスをする。
 その光景が目に浮かんで胸の奥が軋んだ。

 すると視界の中の大友は一瞬、目を丸くしてそれから嬉しそうに目を細めて言う。

「だから、こういうのするのは恵麻にだけ。やきもち、かわいいけどな」

「やきもちじゃないよ!」

「やいてるんだろ?」

「ちがっ!」

 近づいてきた唇に口を塞がれて文句は声にならない。

 離されるとまだ収まらない思いが流れ出る。

「だって、じゃ、なんで詳しいの?」

「ははっ。それは男同士の悪ノリ?」

「男同士?」

「そ、あの展望台、恋人がイチャついてるらしいぞ、冷やかしに行くかって。男ばっかで4、5人。わざわざこんな奥まで見に来てな」

 楽しそうに話す大友の姿を不思議そうに眺める。
 思っていたよりもずっと子どもみたいな行動してるんだなあと新鮮な気持ちになる。


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