同期は蓋を開けたら溺愛でした

「でも、なんていうか。押さえてるんだよな」

「なにを」

「グッとくるポイント?」

「なにそれ」

 レンジが出来上がりを告げ、再び立ち上がって取りに行ってくれる。
 そしてローテーブルに置き、蓋を開けフォークまで袋から取り出して「ほら、食べるんだろ」と呼ばれる。

「ありがと」

「お礼を言われると照れくさいから、今まで通り恵麻は無神経でいいんだよ」

 喜んでいいのか分からない助言をされ、複雑な顔をする。

 大友はすでに食べたのだろう。
 私が食べ出すのを隣で見守っている。

 そして質問した本人も忘れていた答えをくれる。

「俺がどうにも体調が悪い時、一番に気付くのは恵麻だったし」

「それは近くにいるからでしょ」

 野生動物並みに体調が悪いことを隠す大友は、放っておくと倒れるまで無理をする。
 それを事前に何度か指摘した時を言っているんだろうけど。

 こんな大柄な人が倒れたら困ってしまうから、きっと私に備わった危機回避能力なだけだと思う。

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