同期は蓋を開けたら溺愛でした

「雄って呼べなくなっちゃうよ」

「ヤダ。呼んで」

 駄々っ子のような言い方に「かわいい」と漏らすと、耳が真っ赤に変わっていく大友を見て目を丸くする。

「待った。今のナシ。卑怯だろ。今の」

「どこが? なんで?」

「いや、いい。なんでもない」

 腕で顔全体を隠してしまうから、腕にチュッと唇を寄せる。

「だっ、んっとに人でなしだろ。お前」

「だって、雄とキスしたいけど……」

「ダメ。その発言、ダメ」

「なんで?」

「いいから、ダメ」

 いいのか、ダメなのかよく分からない発言をする大友に自分の考えを提示する。

「大友はさ、見た目は強面だし大柄でがたいもよくて。性格も男っぽい感じだから、そういう面では『雄大』ってピッタリな名前」

「あ、そう」

 気のない返事をする大友に続きを話す。

「でも、本当は甘えっ子なかわいい面もあるのかなって思うから、そういう時は『雄』の方がしっくり来る」

 口を噤んだ大友はそうだとも、違うとも言わない。

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