同期は蓋を開けたら溺愛でした

「だって、酔って正体が無くなった時……」

「あー! 言うな。分かったから言うな」

「覚えてないんじゃないの?」

「酔って記憶を無くせるほど器用じゃない」

 記憶が無くなる方が器用なの?
 そんな疑問は大友の困惑する姿を見て、どうでもよくなる。

「一生の不覚?」

「そういう、わけじゃないけど」

「じゃ、あの時みたいに言って」

 グッと喉を鳴らした大友が眉尻を下げてこちらを見る。

「勘弁してくれ。あれは酔った勢いだからできたんだよ」

「可愛かったのに」

「また、酔ったら、な。多分」

「それで、酔いが覚めてからオロオロするの?」

 からかう言葉を向けると、大友が私の肩に顔を擦り付けた。
 ドキンと心臓が鼓動を速めると、上目遣いで言われる。

「キス、して?」

「うっわ……」

 鼓動を速めていた心臓がジャンプして不整脈を起こす。

「おい。恥を忍んで言ったんだぞ」

「ダメ。今のはダメ」

「なにが」

「だって、今のは『大友』が混じってる」

「なんだよ、それ。大友も雄も、俺だけど?」

 不満を漏らされて本音をこぼす。

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