同期は蓋を開けたら溺愛でした

「だってかわいいっていうより、色気が……」

「色気なんてあってたまるか」

 そうこぼす大友が信じられなくてマジマジと見つめる。

「なに」

「いいえ。何も」

「で、キスはしてくれないわけ?」

 迫ってくる大友をグッと押し返す。

「だから、今みたいに色気ダダ漏れで来られるとこっちがおかしくなるから」

「ふーん。よく分からないけど、恵麻が困ってるのが面白いから色気? ダダ漏れで行く」

 そう言って、優しく唇を触れさせる。

「もう眠れなくなるの確定だからな」

 色気を隠そうとしない大友が再び唇を重ねた。

 やぶ蛇だったかも……。
 そう思ってみても手遅れで、唇を離されたと思ったら、その唇をペロリと舐められた。

「ひゃ……」

 思わず声を上げた隙に割り込まれ、急速に溶かされていく。
 体の奥が疼いて、大友の腕に掴まると悩ましい視線が絡む。

 手に指を絡められ、指に触れられているだけなのに、キスと相まって艶めかしい。
 次第に息遣いが乱れていく。

 不意に離されると切ない顔をした大友に胸がキュンとして、掠れた声で囁かれた。

「早く、恵麻がほしいよ」

 ギュッと胸を鷲掴みされような気持ちになると、大友の胸に顔をうずめた。

 キス以上はしない。
 そう言った通り、キスしかしない。
 離れては触れ、何度でもキスをする。


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