同期は蓋を開けたら溺愛でした
溶けてしまって何も考えられなくなりそうな刺激の中で、突然異質な音が響いて体を揺らす。
一瞬、動きを止めた大友だったが、再び唇を重ねようとするから胸をたたいて訴える。
「ブーッブーって大友のスマホじゃない?」
「ああ」
「だ、ダメだよ。こんな時間の電話だし急用かも」
我に返った恥ずかしさから、電話を無視し続けてまで甘い雰囲気でいられない。
「まあ」
気乗りしない声を出し、ポケットからスマホを取り出すと「ったく、北川かよ」とぼやいた。
北川くんは私たちの同期で、大友と仲のいいメンバーの1人だ。
北川くんを含む、4、5人のメンバーでよく飲みに行く話を聞いていた。
ちょうど4、5人だし、もしかして展望台を冷やかしに行ったのも、そのメンバーかも。
そんな呑気な想像をしていると、電話口から声は漏れ聞こえるのに、全く何を言っているのか理解できない声。
何か、ただならぬ雰囲気が私にまで伝わってきた。
スマホを耳に当てる大友は、なんとか会話ができているようで受け答えをしている。
「ああ、そうか。うん。分かった。大丈夫だから。ああ」