同期は蓋を開けたら溺愛でした

 打ち合わせは10時。

 それまでに資料の確認や準備をし、完成連絡が来た試作品を受け取りに行く。

 試作課は3階にある。
 このくらいは階段を使おうと普段はあまり使わない階段を降りていく。

 ここまで長かったな。
 早々に試作品をお願い出来たのに、急遽それをストップして。

 感慨深い気持ちになりながら試作課へ続く扉を開いた。

 試作課のオフィスに入る前に社員証をかざす。
 面倒に思う時もあったこの行為も、秘匿事項を守るためには重要だ。

 この奥には今まさに世に出そうと試行錯誤を繰り返している商品がたくさんあるのだから。

 オフィスへ入ると入り口付近にいる庶務の方に「商品企画課の青木です。依頼していた試作品を受け取りに来ました」と告げる。

 依頼表を見せると「棚に並んでいると思います」とズラリと商品が置かれた棚を指し示された。

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