同期は蓋を開けたら溺愛でした
軽口を交わし合う私たちを見て、阿部くんが穏やかに微笑んだ。
「お前ら2人が戯れ合ってるのを見ると安心するわ」
そう言いながらジョッキを持ち上げる阿部くんに倣って、私たちもジョッキを持ち上げた。
「商品化へひと段落。お疲れ様」
「お疲れ」
みんなが私に向けて言ってきて、私は目を丸くして乾杯を受け取る。
「あ、ありがとう」
「なんで驚いてるんだよ」
体を軽くぶつけられ突っ込まれると、目の前の阿部くんたちが顔を見合わせる。
「心配する必要なかったみたい」
安心したようにつぶやく里美に疑問がこぼれる。
「え、何が?」
「いや、大友さ、ひどいんだぜ。付き合った祝いしようって言ったのに」
「だから、その話題はナシって言ったろ」
茶化すように言う阿部くんに、大友は不機嫌そうに言う。
照れるから、かな。
私もこのメンバーでその話題は恥ずかしい。
そこから時折、大友に注意されつつも、自分たちが関わっている仕事の話や、同期の話題で盛り上がった。