同期は蓋を開けたら溺愛でした

 フロントへ行き、やはり予約してあったようで鍵を受けとると、言葉少なに指定された階までエレベーターに乗る。

 部屋に入ると、ははっと力なく大友は笑った。

「かっこつかないな。もっとスマートに誘うべきだよな」

 うなだれる大友に、私も胸の内を吐露する。

「ううん。私こそ、緊張で食事できる余裕がなくて……」

「うん。そっか。あとでルームサービスでも取ろうな」

「うん」

 私に歩み寄った大友が私の髪をひとすじ取って、それからその髪に唇を寄せた。

 慈しむような仕草にトクンと胸が高鳴って、私も大友へ歩み寄って彼の胸にもたれかかった。

「恵麻……風呂、行こうか」

「さすがに一緒には行けないよ」

 笑わせたくて言ったつもりが「そうだよな」と些か残念そうに言われて驚きの声を上げる。

「もしかして、一緒に、入るつもりだった?」

「まあ」

 息を飲んで、後退ると甘い声で囁かれる。

「散々待ったんだ。今さらこのくらいって思うんだけど、今はもう片時も離れたくなくて」

 後退った距離を詰められて抱きしめられると、キューッと胸が痛くなる。

「先に風呂、行く?」

 大友の胸の中で、コクコクと頷くと解放されて背中を押された。

「待ってる」

 甘く囁かれ体を必要以上熱くさせられて、よろよろとバスルームへ向かった。

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