同期は蓋を開けたら溺愛でした

「さあ。飯、食べよう。これが朝飯なのか晩飯なのか、もはやよく分からないけどな」

 苦笑する大友が、何かを切り替えたみたいにいつも通りで、なんとなく不貞腐れた声が出る。

「もっと、ここに来るのとか、躊躇すると思ったのに」

「ん?」

「だって、同期の関係にもう絶対戻れないんだよ?」

「ああ」

 気怠げに返答され、甘い雰囲気も吹き飛んでしまった。

 ただの同期としての、さっぱりした大友と、甘く濃厚な夜を過ごした雄。
 
 同じ人物のはずなのに、甘ければ甘いほど急に私の中で不適合が起こって混乱する。

 だからなのか、私は今さらな発言をし始めた。

「私の一番の理想は、理解ある女性と結婚した大友と、ずっと戯れ合う同期でいるって……」

「その関係に戻りたい?」

 試すように言われ、揺れる瞳で大友を見る。

< 281 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop