同期は蓋を開けたら溺愛でした
「戻れ、ないよ」
「それが答えだろ」
「でも……」
「なに」
怪訝そうな声で返され、不安の確信を得る。
でも、それを口に出すのはもっと怖い。
顔を俯かせ黙っていると、ため息を吐いた大友が私へ近寄ってきて、体をビクリと揺らす。
「恵麻。もっとゆっくり進めば良かったよな。ごめん。ビックリして混乱してるんだろ」
「そう、じゃない、と思う」
「いや、きっとそうだ。嫌ならもう昨日みたいなことは、当分しないから」
勝手に決めつけて、話を進めていく大友に、首を振る。
「違うの……」
とにかく、時間が迫っているからと、まだうじうじしている私は急かされ、ルームサービスを食べさせられてからホテルを後にした。
「今日は俺のアパートに泊れよ」
「でも……」
「こんな不安定な恵麻を1人にしておけるかよ」
大友は私の意見を聞かないまま、私のアパートまでついてきて、荷物を持ってくる私を下で待つと言う。
一緒にいれば不安が解消されるのか分からない。
数日分の着替えや化粧品などを旅行鞄に詰め込んで、大友のアパートに転がり込んだ。