同期は蓋を開けたら溺愛でした

 それだけじゃない。
 普段だって、いい商品を出せば、自ずといい感想を聞けて励みになっていた。

 それは営業経由で雑貨売り場から。
 ネットの文房具好きの口コミから。
 はたまた、たまたま通りすがりの人たちの会話から。

 自分の生み出したものが世に出て、認められ、喜ばれる仕事。
 しかも大好きな文房具に携わる仕事だ。

「案外泣き虫なお前を世話できるのは俺ぐらいだしな」

「世話してなんて頼んでないよ!」

 憎まれ口をたたく私を見る大友は、穏やかな優しい眼差しを向ける。

「それに、お前の隣は俺だろ?」

「……うん」

 入社して3年目。
 今日まで、ずっと隣だった。
 これからだって……。


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