同期は蓋を開けたら溺愛でした
すると大友は、ジャケットの内ポケットから小さな箱を取り出すと私に差し出した。
「俺と結婚してください」
息を飲んで、大友を見つめ返しても、言葉に詰まって何も言えない。
表情を緩めた大友が、穏やかな声で質問する。
「返事は?」
催促されて、首を左右に振りながら返事をした。
「……はい」
声が震え、涙があふれる。
「泣くなよ。泣かれると困る」
指輪の箱と思われる小さなそれを受け取ろうと伸ばした手は、微かに震えている。
その手を掴まれて、引き寄せられた。
「キャッ」と小さな悲鳴を漏らすと、ギューッと大友が抱きしめて頬に頬を寄せた。
「どうして「はい」の前に首を横に振るんだよ。断られるかもって半々だったから、心臓が押し潰されるかと思った」
「だって、まだ付き合って1ヶ月も経ってない……」
私は眉根を寄せて不安を訴える。
「だいたい1ヶ月だろ」
「そうだとしても……」
「それに付き合った期間は、俺たちに関係ない。付き合う前から、誰よりも近い位置にいた」
誰よりも、そう言われ胸がいっぱいになる。