同期は蓋を開けたら溺愛でした

 そう言われ、あの時に私へ向かって大友がひざまずく姿を想像して吹き出した。

「ヤダ。似合わないよ」

 公衆の面前でそんなキザな真似……。

「悪かったな、似合わなくて。ここでするのも、相当勇気が必要だったんだからな」

 頭をグリグリとおでこに擦り付けられて「うん……」と小さく返事をした。

「カッコよくて不覚にも、ときめいちゃった」

 恥ずかしくて少しだけ本音をこぼす。

「不覚は余分」

 苦笑する大友に鼻をかじられて、ふふっと笑う。

 本当は分かってる。
 ずっと前に愚痴った内容を、覚えてくれていたのだと。

『プロポーズはひざまずかれて、愛を囁かれてから指輪を渡されたいな。ま、私のキャラじゃないから実現しないよねー』

 その時は、結婚できるのかどうかさえも怪しかったのに。
 まさか愚痴った大友とそうなるとは、夢にも思わなかった。

 大友といると自分がすごく可愛らしい女の子になったような錯覚に陥って、少し困る。


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