同期は蓋を開けたら溺愛でした

「何、俺を非難したいの? というより、水野さんや里美にヤキモチ妬いてるって言えないわけ?」

「は?」

 まだ寝ぼけてるんじゃない?
 非難したいだけに決まってる。

 大友は意地悪な顔で私を見つめ、それから甘い声を出す。

「恵麻に妬かれたのなら、うれしい」

 顔と声と内容のギャップに、頭の中で情報が不適合を起こして正常な処理ができない。

「そんなんじゃない。ただ、里美は『里美』で、なのに私は『青木』で済ませる間柄で。だから、何が言いたいかっていうと私は全然特別じゃないでしょって」

「あー、何、言ってるんだか」

 呆れたような声を出すいつもの調子に戻った大友は、視線をそらして煩わしそうに頭をかく。

「聞こえないフリしないで」

 面倒くさくなったんだな、と思ったのも束の間、ノールックだったくせに突然手を引かれ、心構えのない体はグラリと傾いた。

「ひゃ」と小さな悲鳴をあげた私へ、回されたもう片方の腕に頭ごと抱き寄せられる。

 心臓は壊れそうなほどに音を立て、脱出を試みて体を押しても事態は好転しない。


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