同期は蓋を開けたら溺愛でした

「今日、会ったら言うつもりだった。お前はいつも通りでいればいいって。キャパオーバーなんだろ?」

「いつも、通り?」

「ああ。馬鹿言い合える同期って、やつ?」

 そうだよ。それが私たちに一番しっくりくる間柄の名称。

 安心して気が抜けた私は、大友の突拍子もない振る舞いに意表を突かれる羽目になる。

「ま、俺は思うがままに行動するけど」

 大友の体にくっついている私の頭に、大友はあろうことかキスを落とした。

 慌てて飛び退くように体を離した私の視界の中で、楽しそうな大友の表情が変わってクシャリと笑う。

 リップ音までさせて、絶対にわざとだ。

「全然いつも通りじゃない!」

「お前はって言っただろ。俺がどうとは言ってない」

「詐欺だよ。詐欺!」

「ああ。なんとでも」

 睨みつけても飄々とする大友に辟易する。

 頭を悩ませる事態から何も変わっていないのに、どうしてか心は軽かった。
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