同期は蓋を開けたら溺愛でした

 エレベーターに乗り込むと、突然、隣から手を握られ指を絡め取られる。

「な、ここ会社、だよ」

「少しだけ。触れていたい」

 見下ろされる視線は甘く、甘さを放つ大友は僅かに不安が入り混じったような声を出す。

「また、おかしくなって避けたりするなよ」

 絡らむ指は何度か握る位置が変えられ、指先で撫でるように触れ、絡み合う。

 慈しむように触れる指先を振りほどけない。

 触れているのは、ほんの少しの指先なのに、どうしてか全身が沸騰するように熱い。

 大友が発した声に、触れる指先に、どうしてか切なくなってぶっきらぼうに返す。

「こういうの、された方が避けたくなる」

「あっそ」

 素っ気ない態度で手を離した大友は、ちょうど到着したエレベーターを降りていく。

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