同期は蓋を開けたら溺愛でした
4.いつも通りって
席に戻り、アイディアを書き出し、固めていく。
こんな時ほど時間が過ぎるのは早く、すぐに定時になってしまった。
しぶしぶ帰り支度をし、エレベーターに向かう。
エレベーターホールで待っていると、後ろから追いついた大友が右隣に立った。
定時を少し過ぎただけで、エレベーターホールに人はまばらだ。
そんな中だからか、大友が少しだけ親密な話を持ち出す。
「この後、アパートに来て、もう少し構想を固めないか」
私にしてみたら、これは願ってもないお誘い。
と、いっても大友は新しいアイディアを一緒に練ってくれるわけではない。
ヒントになるようなことは言うことがあっても、そこは仕事仲間。
人の仕事に、口出しはしない。
ただ、集中すると寝食を忘れてしまう私の世話を甲斐甲斐しく焼いてくれる。
それがとてもありがたい。
煮詰まった時のなんでもない話し相手も買って出てくれる。
いいやつなのだ。