同期は蓋を開けたら溺愛でした

 朝起きると大友はすでに起きていて、そういえばいつも私より先に起きている事実に気づく。

 いつから、一緒のベッドで寝てなかったんだろう。

 胸の痛みが何の痛みなのか、わからないまま、昨晩の出来事は気づいていないふりをして起き上がる。

「おはよ。寝坊助が珍しいな」

 表情を綻ばせる大友の顔を思わず凝視し、見つめていたと気づいたあとはうまく見られなくなってしまった。

「お、おはよ」

 顔を背け、ぎこちなく朝の挨拶を口にする。

「なんだ、寝不足か、それともまた変な思考に陥ってる?」

 顔を覗き込もうとする大友の体を押し返し、顔を背けたまま言葉をこぼす。

「逆光で、まぶしかっただけ」

「ふーん」

 納得していないような大友に続けて言う。

「逆光で、よく見えなくて、雄が男前に見えて見惚れそうになっただけ」

「へー」

 気の無い返事は本気にしていないというのがうかがえる。

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