同期は蓋を開けたら溺愛でした
不意に頬を両手で挟まれ、ドキッとする。
そのまま引き寄せられ、速まる鼓動で苦しくなると同時に、頭に頭をグリグリと擦り付けられた。
「これでどうだ。よく見えるだろ。普通にしてても男前だってくらい言えないのかよ」
近過ぎて見えないし。
そんな文句も胸のドキドキが邪魔をする。
「寝言は寝てから言ってくださいー」
「んだよ。恵麻ちゃんは寝癖でボサボサでも可愛いですけどねー」
「嘘ばっかり!」
頭に手を当てて、寝癖を隠そうと試みても鼻先で笑われる。
朝食を用意していた大友はキッチンの方へ向き直り、背を向けた。
大友の視線から逃れて息をついたのも束の間。
大友のつぶやくような声が耳に届く。
「かわいいよ」
顔の見えないひとことは甘く溶けて、どうしようもなく恥ずかしい。
いつも通りって何?
居心地のいいはずの大友の隣が、落ち着かなくなっていく予感がしていた。