同期は蓋を開けたら溺愛でした
商品開発部に試作依頼を出し、営業にも意見を聞くためにプレゼンの用意や打ち合わせの手配をする。
「青木。特許のも提出しろよ」
原田課長にそう言われ、俄然やる気になる。
知的財産管理部へ他社の特許を侵害する可能性がないかのチェックを依頼する、その資料作成のことだ。
商品化する見込みのないものを調べても仕方ない。
つまり、特許を侵害していないか調べておくくらい課長から見て、商品化できそうだと期待されているのだ。
「やった」
私は小さくガッツポーズをして、ToDoリストに書き加えた。
「今日は青木の奢りだな」
隣で「俺が言った通りだろ」と、したり顔の大友に、ついいつもの通り返してしまった。
「当たり前じゃない。気分いいんだから任せてよ」
ウキウキした気持ちは少し前の大友が起こした目に余る行動をも忘れさせてしまっていた。