同期は蓋を開けたら溺愛でした
「乾杯!」
「やったな。ヒット間違いなし!」
「気が早いよ」
持ち上げる大友に顔をしかめつつも、ビールがおいしい。
「なぁ」
「ん?」
「この機会に付き合っとくか?」
「え? なにに」
「俺とお前」
「ぶはっ」
「きったね。お前なにやってんの」
ビールを思いっきり吹き出して、大友に叱られる。
おしぼりをもらってくれる大友が、怪訝な顔をしつつも拭いてくれるのをただ呆然と眺め続ける。
「お前、少しは自分でも……」
「いつも通りって」
私が漏らした声を聞いて、大友も表情を変え、真剣な顔つきになる。
「あぁ。言ったな」
「どこがいつも通り?」
「……分かった。もう言わない。その代わり、この後、うちで飲み直せるか」
今日は行かないつもりだった。
つい、飲みには来てしまったけど、もう大友のアパートには行ってはダメだって、いくら私でも気づく。
それを先回りして大友に気づかれてしまったのかもしれない。
「嫌ならいい」
「行くよ」
私はビールまみれになったテーブルの一点だけを見つめて言った。