同期は蓋を開けたら溺愛でした

 気持ちを切り替えようとバスルームに向かおうとしたとき、テーブルの上に置きっぱなしになっていた大友のスマホが視界に入る。

 何かを受信したらしい点滅をしたスマホ。

 置いて出て行くなんて、私を信用し過ぎじゃない?

 魔が差したんだと思う。
 いくらアパートに泊まれる間柄だからって。

 越えてはいけないラインがあった。

 スマホの画面にはメールを受信したお知らせが小さく出ていた。

『転職サイト:あなたにお勧め情報……』

 愕然として、目の前が急に揺らいだ気がした。

 嘘、だよね。
 転職しないよね。

 だって入社して、私たちずっと隣でやってきたのに。

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