同期は蓋を開けたら溺愛でした

 どうやってシャワーを浴びたのか思い出せない。
 体に染みついた動作で、なんとか浴びたのだと思う。

 大友のスマホを視界に入れないように、再びいつもの場所に小さくうずくまった。

 戻ってきた大友は飲み物を買ってきたらしく、冷蔵庫にしまう。
 その状態で背を向けたまま、私へ問いかけた。

「なあ、どうして俺が付き合う? って聞いた時。すぐに、うんって言わないわけ?」

 質問に面食らって大友の背中を凝視する。

「どうしてって」

「お前、どこの誰だか知らないようなやつに告白されても、浮かれてすぐにOKしてただろ」

 振り向いた大友は避難するような視線を寄越す。

「それは……」

「そいつらと俺との違いって、なに?」

「もうその質問、しないって言った」

「いいから答えろよ」

 そんなのずるい。

 何を言っても聞き入れてもらえない雰囲気に文句は言えず、返答に困って口を噤む。
 すると、大友は勝手に決めつけて話を進めていく。

「お前の好みが細身の、見るからに軟弱なタイプだから?」

「ちがっ」

「違わないだろ」

 確かに、前の恋人もそうだったし、大友が知っている人はそんな人ばかりだ。

 けれど……。

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