同期は蓋を開けたら溺愛でした

「押して刃が出る仕様は必要でしょうか」

「え」

 増永さんの隣に座る女性が口を挟んだ。
 確か増永さんの新しいアシスタントで、清水さん。

「今回のターゲットは小さいお子さんです。無駄な機能は排除して、紙をセットして動かせば切れるだけでいいのではないでしょうか」

 押して刃が出る必要はないのか……。
 そこも含めていいアイディアだと思っていたのに、指摘されて改めて自分の構想を思い返す。

「それでもっとお子さまの小さな手に合わせて小型化し、安価にして、どうせなら刃も替えれなくていいと思います」

 次々に提案される内容を手元の資料に走り書きしていく。

 そうかもしれない。
 便利な機能を、と思っていたけれど小さな子が使うのは単純なものの方がいい。

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