同期は蓋を開けたら溺愛でした
「それでは次の資料をご覧ください」
大友が次に話し出し、企画した商品を説明していく。
私も初めて今回の文房具フェス向けに大友が考えた案を聞く。
「考えたのは3色蛍光マーカーです」
「3色……これは2色のようだか?」
資料には左右どちらもマーカーになっている一本の蛍光マーカー。
左は黄色。右は青色だ。
営業課長の指摘通り、この1本では2色だけ。
「はい。黄色と青色で2色です。そして、黄色を引いた上に青色を引いた緑色で3色です」
「なるほど」
「今回、一番の決め手は重ねた後の発色の良さと、重ねた方のマーカーに重ねた色が残らない点です。緑色の線を書いた後に青色を使った場合でも、綺麗な青色でマーカーが引けます」
「それはすごいな」
増永さんのつぶやきを聞いて、やっぱり大友だなあと感心する。
もちろん、私自身もいい発想だと思った。
これ1本持ち歩けば、3種類の色のマーカーが引ける。
男性ならこの1本で重要な点を色分けしたいときに事足りるだろう。
その上で、強敵である増永さんに、つい「すごいな」と言わせてしまうところがさすが。
シンプルなのに機能性も高く、大友らしい構想だからこそ。