同期は蓋を開けたら溺愛でした
「発色の良さと色が混ざらないのが、どの程度かにもよりますが、想像通りなら素晴らしいです」
釘をさすのを忘れないところが増永さんらしい。
それにしても全面的に賞賛している。
大友の蛍光マーカーについても、他の色の組み合わせについてや、インクの補充についてなどを議論した。
「では、青木のカッターは大人向けを別に考えるとして、子ども向けカッターと3色蛍光マーカーを文房具フェスの出展に向け、進めていきます」
原田課長が会議を閉めようとしたところで、増永さんが手を挙げた。
「すみません。もう1つだけ。青木さんのカッターですが、『さらさらカッター』の名前は『さらさら』である必要はありますか?」
これは沙良ちゃんのために考えたカッター。
それと『さらさら切れる』という部分に掛けている。
「『スラスラ』でもいいような気がしますが。『スイスイ』でもいい」
『さらさら』に拘っている理由が理由だけに言葉に詰まる。