同期は蓋を開けたら溺愛でした
7.認めたら
定時になるのを待ちわびていた私は、時間になるとすぐにパソコンを落とし、周りの人に挨拶する。
「お先に失礼します」
「お疲れ様。青木ちゃん、浮き足立ってるね。デート?」
「はははっ」
同僚の軽口をにこやかに流し、オフィスを後にする。
待ち合わせは会社にほど近い個室もある中華。
秘密の会合にはもってこいの場所。
私ははやる気持ちでエレベーターへ乗り込む。
商業ビルの12階にある中華料理店はまだ営業前。
にも関わらず、顔を覗かせた私に「どうぞ、中へ」と招き入れてくれた。
もちろん里美も来ていない。
「どうぞ。ホットウーロン茶です」
サービスで出してくれたホットウーロン茶に心が和む。
「ご予約されていますか?」
「はい。18時から予約した青木です」
予約表を確認して、私の名前を発見したようだ。
「個室に2名様ですね」
「はい」
「ではどうぞ。こちらでお待ちください」
個室にまで案内してくれて至れり尽くせりだ。
きっと必死さが顔に出ていたんだと思う。
こういう時、考えがそのまま顔に出る性格で得したなぁと思う。