同期は蓋を開けたら溺愛でした
8.疑惑

 次の日、会社に行くと緊急で打ち合わせが開かれた。
 メンバーは商品企画課と営業部で前と同じ顔ぶれ。

 もちろん審議内容はカッターについて。

 増永さんはみんなが思っている懸念を口にする。

「今は向こうの方がメジャーで、いくら違うと言ってもこちらの盗作を疑われる」

 アンドが発表したのはホッチキス型のカッター。
 こちらと同じような発想をしたのか、当初の案と被っている。

 しかしいくら最終形態がアンドと違うとはいえ、先に発表したアイディアに後付けしたペン型の機能のように見え、取ってつけた感がある。

「完全に真似して改良したと思われるな」

 原田課長のため息交じりの声を聞くのがつらい。

 すでに発表されたアンドのカッターはネットでの評判もいい。

『安全なカッター! ありそうでなかった』
『見た目も可愛いからデスクに置きたい』

 奇しくも見た目まで、ワニやカバをモチーフにしている。

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