同期は蓋を開けたら溺愛でした
解散になった会議室で、私は席を立てずにいた。
今回は運が悪かっただけ。
そう思おうとしても、私を待つ大友へつい弱音がこぼれる。
「二匹目と一匹目では違いは大きいよ」
いくらいい商品を発表しても、先を越された類似商品では新鮮味に欠ける。
しかし大友はどこからそんな自信がわいてくるのか、確信を持っているかのような言葉を発した。
「大丈夫だ。世の中はよく見てる」
「何が」
いくら言われても今は聞き入れるなんて無理そうだ。
大友もそれが分かっているのか、頭に手を置かれ、グチャグチャにかき回される。
大友に抱きつきたい衝動に駆られるのに、私はある疑惑を拭い去れずにいた。