同期は蓋を開けたら溺愛でした

 大友を退室させた増永さんはゆっくりと私に近づいて、憶測を口にする。

「早い段階で青木さんから情報を得られる人物……」

 私は未だ席から立てずに、腿の上にある手を握りしめる。

「大友って言いたいんですよね」

 最初のアイディアが出た時。
 一緒にいたのは大友だ。

 あの時にアンドへ情報を流せば、そこから私が試行錯誤している間に商品化する時間は十分にある。
 何より先行発表するためのデモ品なら、試作するのに間に合うだろう。

 俯く私へ増永さんはため息をつく。

「……信じたくないのは分かるよ。だけどさ」

 転職サイトから情報を得ているらしい大友。
 転職って言っても文房具愛のある大友が別の会社に行くなんて、と思っていたけれど同じ業種なら納得できる。

 だからって……。

 増永さんが私の方へもう一歩、近づいて肩に手を置いた。

「大友くんと近過ぎたんだよ。これからは僕が側に……」

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