孤独な私が愛を見つけたら
「まだ自分の気持ちも分からないんだよね?」

「そうですね…、言葉に出来ない感じですかね…。」

親から愛情を受けていないと、他人から寄せられる愛情に鈍感になってしまう。

私はそんな事を感じていた。

言葉の度合いが分からない…。

私は香織さんの方をじっと見た。

「香織さんも含めて、坂下さんも吉田さんも私にとっては大事な人です。それはしっかり自覚しています。でも…。」

香織さんの手が私の肩に触れた。

「今はそれを感じる事だけで正直精一杯みたいです。だから自分の相手に対する気持ちまで意識出来なくて…。」

「無理はしないで良いのよ。」

香織さんはそう言うと、すっと私を抱きしめた。

その瞬間、私は子供の様に声を上げて泣き出した。

「変化が急激すぎたね。」

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