孤独な私が愛を見つけたら
母親が私の手を取った。

「きっとあなたの中でもそれが確認したい何かが起こったんじゃないの?」

私の驚いた顔に父親も母親も微笑む。

「私達は佐奈の親だよ。それぐらい分かるさ。遅すぎたかもしれないけれどね。」

父親のその言葉に涙が止まらなくなってしまった。

「これだけは言っておくわ。私達はちゃんと佐奈を愛しているから。ただその方法が分からなくて、あなたにちゃんと伝わらなかっただけだから。だからこれからは時々こうやってここに帰って来てほしいの。」

両親は同時に立ち上がると私のそばに立った。

座っている椅子の後ろから父親が照れもせず自然に私の背中を包む。

そのそばにしゃがんで、母親はしっかりともう一度私の手を握った。

「ごめんね、ごめんね。」

私に懸命に謝り続ける母親の姿が涙でちゃんと見えない。

でも背中と手の温かさはしっかりと伝わって来た。

< 138 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop