孤独な私が愛を見つけたら
そして少しの間をおいて吉田さんから出た言葉は…。

「あなたにとって本当に大事な人が誰だか気が付いたとか?」

からかうような吉田さんの仕草。

「…それはもう少し自分の中で考えなくてはならない事なのかもしれません。」

私は目を伏せた。

「いいえ、きっとその答えは出ているんじゃないですか?そして…。」

吉田さんは温かい…、そしてとても悲し気な表情を見せた。

「俺じゃないって事も。」

私の中に何かがストンと落ちたような気がした。

「あっ…。」

「図星かな。」

吉田さんは苦笑した。

「今晩は俺と佐奈さんとの最後の晩餐としましょう。でも…。」

注文した料理が来て、一瞬話が途切れた。

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