孤独な私が愛を見つけたら
吉田さんはしばらく様子を伺った後、ニッコリと笑って私を見つめた。

「でも諦めません。あなたが必要としてくれたら、いくらでも寄り添うつもりでいます。」

私の目からはハラハラと涙がこぼれ始めた。

「さあ、ゆっくりと佐奈さんの話を聞かせて下さい。」

吉田さんとは長い、そして最後の夜を過ごす事となった。

こんなに自分の事を自分の言葉で話したのは初めてだった。

店を出ると、吉田さんが右手を差し出した。

「佐奈さん、ありがとうございました。あなたの気持ちがちゃんと伝わりました。」

私は少しためらいながらも、おずおずと右手を出した。

すると吉田さんがその手を強引に引っ張った。

「吉田さん。」

私はまた逃げるタイミングを失った。

「最後…、最後ですから。」

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