孤独な私が愛を見つけたら
私はそう決めると、気持ちが落ち着いてきて、遠慮なく注文をした。

思いのほか楽しいひと時を過ごした。

仕事の事も話題に出来るので、和やかな雰囲気だ。

吉田さんは優しく、ふんわりとした穏やかさを持っている。

盛んに話しかける三井さんの相手を上手にこなしている。

おかげで私はそれにうなずいて、話を合わせるだけだった。

しかも頼んだハンバーグが抜群に美味しかった。

後で聞いたら、どうもこの辺で有名なお店らしかった。

私は食べ終わると、ゆっくりと立ち上がった。

そして三井さんに耳打ちをする。

「ちょっと席を外しますね。」

私は吉田さんに頭を下げて、その場を離れた。

よし、このままトイレに行く振りをして店を出よう。

私は周りを少し伺った後、迷いもせずに出口へ向かおうと身体の向きを変えた時だった。

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