孤独な私が愛を見つけたら
坂下さんは私に後ろから抱き着く。

私の首に坂下さんの腕が回った。

「さっ…、坂下さん!」

更に慌てた私は顔を赤くして叫んだ。

「私の前では遠慮もしないって事ですか。」

香織さんはクスリと笑う。

「三井にもちゃんと認めてもらわなきゃいけないからな。…本当にありがとう、三井。」

坂下さんの言葉に、私もぺこりと頭を下げる。

「私はきっかけを作っただけだから。でも坂下くん、時々佐奈ちゃんを私にもちゃんと貸してよ。」

「時々だぞ。」

坂下さんの腕の力が入る。

「本当は少しも離れていたくないんだけどな。仕事なら仕方ない。」

そう言って、坂下さんは戻って行った。

< 162 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop