孤独な私が愛を見つけたら
「坂下くんも大胆ね。誰が見ているか分からないのに。」

香織さんのそんなつぶやきを聞いて、思わず私はきょろきょろと周囲を伺う。

「…佐奈ちゃんたら…、素直過ぎるわ。」

香織さんの方が恥ずかしそうな表情を見せた。

「あんなデレデレの坂下くんを見る事になるとはね。」

今度は私の方が恥ずかしくて顔を背けてしまった。

今日は昼から無難に仕事をこなして、そろそろ終業時間という頃…。

「佐奈、帰るぞ。」

坂下さんが私の耳元で囁く。

「えっ?」

私が思わずパソコンから顔を上げると、周りをきょろきょろした。

何となくざわついた周辺から、冷やかしの雰囲気を感じる。

「さあ、皆さんも今日は残業なしで帰りましょう。」

楽しそうな香織さんの一言に、場がふっと和んだ。

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