孤独な私が愛を見つけたら
私は優しく言葉をつなぐ。

「佐奈さんに重荷にならなければ良いんですが…。」

こんな時まで謙虚なんだな。

「ううん、そんな事はないと思う。だって…、きっと佐奈ちゃんは佐奈ちゃんなりにきちんと答えを返してくれたでしょう?」

その詳しい内容は、後日佐奈ちゃん当人から聞く事になるのだが。

「そうですね。たどたどしかったですけど、気持ちはちゃんと伝わりました。…やっぱり俺ではダメなんだなと…。」

あらら、更に落ち込ませてしまうかな。

私は部屋の壁の時計を見上げた。

私は努めて明るい声を出す。

「今から話を聞いてあげるから、どこかで落ち合いましょう。」

そう、こういう対応が私らしさ。

「良いんですか?香織さん。俺、きっと泣きながら愚痴りますよ。」

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