孤独な私が愛を見つけたら
私も坂下さんと同じように苦笑いをした。
「あいつの指示は勘違いしやすいからな。」
私が今ついている事務の上司、三井さんは5歳年上だ。
目の前に居る営業の坂下さんはその三井さんと同期だったはずだ。
「でもちゃんと確認しなかったのは私ですから。」
得てして仕事の出来る人が部下の指導が上手だとは限らない。
三井さんはそれをそのまま体現したような人だ。
だからいつもはしつこいぐらい質問をするんだけれど…。
「今日は他の急ぎの書類もあったので確認をし損なってしまったんです。三井さんのしてほしい作業とは違ったみたいです。」
私は言う事を言ってしまって、パソコンに視線を戻す。
すると坂下さんはどっかりと自分のデスクに座った気配がした。
「俺ももう少し仕事をして行こうかな。」
私はそんな坂下さんをチラリと見る。