孤独な私が愛を見つけたら
5
「こんばんは、宮田さん。」

私が一日の疲れを感じながら、会社を出たところで声をかけられた。

「吉田さん、何か業務で不都合でもありましたか?」

私は頭の中で今日の打ち合わせの様子を思いめぐらす。

「いえいえ、仕事の用事ではありません。今日は何か予定がおありですか?」

私は一瞬たじろぐ。

もちろん家にまっすぐ帰ろうとしていた私。

でもここでは何と答えた方が良いんだろうか。

「吉田さん、どうされましたか?」

私の後ろから、三井さんの声が聞こえた。

「いえ、凝りもせず、また夕食に宮田さんを誘おうと思って待ち伏せをしていました。」

そんな吉田さんの素直な言葉に、私は天を仰ぐ。

「あら、私が宮田を誘おうと思っていたのに。」

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