孤独な私が愛を見つけたら

そんな中で吉田さんが急に言葉を挟む。

「みなさんは良く知っているのかもしれませんが…。」

「どうしたの、吉田さん。」

少し戸惑ったような様子を見せた吉田さんに三井さんが目を向けた。

「みなさんのフルネームをお聞きして良いですか？名刺交換したかもしれないですが、意識した事がなかったので。」

何だかその場の雰囲気がふっと和やかになった。

「そうですね。では俺から。俺は坂下佳典（よしのり）。」

坂下さんはテーブルに自分の名前をなぞる。

「何だかスマートなお名前ですね。」

少し茶化すように吉田さんが笑う。

「確かに頭は切れるんだけどね。その分いつもからかわれているような感じがする。」
　
三井さんはそう真顔で言った後、低い声を出す。

「…でも嫌味じゃないから、女性受けも良いのよ。かなり遊んでいるんじゃないかと私は思っている。」