孤独な私が愛を見つけたら
坂下さんは私の様子を不思議そうに見た。

私は今の自分の気持ちを表す言葉を必死に探していた。

やっぱりこの言葉しかない。

「坂下さん…、ありがとうございます。えっと…。」

まだまだ言葉が足りない。

私は一瞬目をつぶって、眉間にしわをよせる。

「…佐奈。」

坂下さんが近づく気配がした。

その瞬間、私の唇に温かいものを感じる。

「えっ?」

私が戸惑っている姿を見て、坂下さんは笑った。

「あの2人には内緒だぞ。」

坂下さんは自分の人差し指を自分の唇の前に立てる。

そして玄関のドアが閉まる音で、私は我に返った。

< 67 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop