孤独な私が愛を見つけたら
三井さんは可愛く首をかしげる。

「あの2人には話しにくい事もあるでしょう?」

私は上目遣いに三井さんを見る。

「…自分の中で引っ越しに対する決め手がなくて。ただ今のところを移りたいって気持ちだけなので…。」

私は困った顔をする。

「それなら坂下くんの横に引っ越したらいいじゃない。あんなお得な物件はなかなかないと思うよ。」

「そうなんですけどね…。」

私はこないだ私の部屋に来た坂下さんの様子を思い出していた。

あんな調子で不意打ちに部屋に来られるようになったら大変だ…。

やっと外でのプライベート生活に慣れて来たところなのに、新しい所に引っ越しをしたら、坂下さんだけではなく他の2人も頻繁に部屋にやってくるのではないか。

正直、それはまだ怖い。

自宅という最期の砦まで取り払われてしまうような気がする。

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