孤独な私が愛を見つけたら
でもまだまだ他の3人の会話に上手に乗せてもらっているという事をつくづく感じている。

自分から自分の事をまだ話せていない。

「佐奈。」

「佐奈さん。」

私を呼ぶ2人の声が私の中で重なった。

そろそろ自分で動かなくてはいけないのだろうか。

「宮田。仕事が進まないと、こないだみたいに遅くまで残業になっちゃうよ。」

三井さんの言葉に、自分の手が止まっている事に気が付いた。

「そんなに深く考え込まないの。なんならちゃんと吉田さんには断ってあげるから。」

「三井さん。」

私はそう呼びかけながら、言葉が上手く出ない。

「吉田さんとの事、嫌じゃないんです。そうじゃなくて…。」

三井さんはふっと息を吐いた。

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