孤独な私が愛を見つけたら

香織さんが吉田さんの事を私と2人の場で初めて下の名前で呼んだ。

「隠していた訳ではないんだけど、私は東司さんとも坂下くんともそれぞれと食事に行っているの。」

それは初めて聞く話だ。

「その代り3人で食事っていうのはないんだけどね。それぞれの佐奈ちゃんに対する悩みを聞いてあげているって言ったら良いのかな。」

そして香織さんはゆっくりと私に視線を合わせた。

「そろそろ2人に真剣に向き合ってあげられないかな？」

「はい…。」

返事とは裏腹に、やっぱり少し不安だ。

「東司さんはそろそろ焦ってきている。だから私に何とか2人になる機会を作ってくれと言ってきている。でもね…。」

「はい。」

私は香織さんの話を神妙な顔つきで聞いている。

「坂下くんは違うのよ。私から見た佐奈ちゃんの様子を聞きたがるの。やっぱり2人はタイプが違うようね。」