孤独な私が愛を見つけたら
私のオロオロした姿を見て、坂下さんは大きく息を吐いた。

「三井から連絡があってさ、家に居るって言ったら、外を覗いてみろって言われて…。」

坂下さんは少し息が上がっているように感じた。

「佐奈の姿が見えたから、慌てて走って来た。」

「あっ…。」

「今日は三井と出掛けていたのか?」

「はい、ランチをしてきました。」

私はその時の様子を思い出しながら答えた。

「…うちに来るのは抵抗があるか?」

何やらいつもの様子と違って、ボソボソと話す坂下さん。

そんな姿に私は笑いがこみ上げる。

「…残業の日の事は今でも後悔している。でもあの時は俺なりに焦っていたから…。」

頭を掻きながら、坂下さんは視線を逸らす。

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